もし国立公園のオリンピックがあったら、きっと日本代表に選ばれるであろう公園があることをご存知ですか?アメリカのグランドキャニオン国立公園にも、アイルランドのスノードニア国立公園にも負けない自然があり、かつ人々の生活に根付いた歴史をもつ公園たちです。ここでは、日本で注目を集めている日本全国8つの国立公園の魅力を、その土地の歴史や神話といったバックグラウンドを通してご紹介します。
そんな8つの国立公園は、交通(アクセスのしやすさ)」「アクティビティ施設や体験内容」、「多言語化」など旅行者が不自由を感じることなく楽しめるよう、2020年を目処にあらゆる面が国主導で整備されてきています。ぜひ、雄大な自然の中で、非日常体験をご堪能ください。
それでは早速見ていきましょう!

<国立公園8選>
北から
1、阿寒摩周国立公園(北海道)
2、十和田八幡平国立公園(秋田、岩手、青森)
3、日光国立公園(福島、栃木、群馬)
4、伊勢志摩国立公園(三重)
5、大山隠岐国立公園(鳥取県、島根県、岡山県)
6、阿蘇くじゅう国立公園(熊本、大分)
7、霧島錦江湾国立公園(宮崎、鹿児島)
8、慶良間諸島国立公園(沖縄)
# 1、阿寒摩周国立公園(北海道)


手付かずの自然と先住民族の暮らし
阿寒摩周国立公園は、1934年に国立公園に指定されてから85年ほど経つ、日本でもっとも歴史のある国立公園の1つです。公園内の約90%以上が、手付かずの原生的な景観と自然環境を残しており、自然保護地区として守られています。亜寒帯性針葉樹林(*1)を中心とする天然林で覆われており、原始的な姿を楽しめます。この国立公園には火山の噴火でできた3つのカルデラ(*2)湖があります。それぞれ、阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖です。火山と湖が幾つも近接している地形は日本国内で貴重です。中でも、屈斜路湖は日本最大級を誇ります。
この大自然が守られてきた背景として、明治期の日本の官僚であった前田正名の尽力があります。1906年に前田正名は“耕作に供するためと牧畜植林に供するため”の目的で、農場・牧場の経営に乗り出し、「前田一歩園」を設立。(座右の銘「ものごと万事に一歩が大切(何事も、まず最初の一歩を踏み出すことが大切)」に由来していると言われています)しかし、阿寒湖一帯の濃い針葉樹と美しい湖との調和に魅せられた正名は「この山は切る山ではなく、観る山にすべきである」と観光地への発展を予測していました。私財を投じて、道路の開削や教育施設をはじめ各施設の建設に貢献しました。その後も、自然保護や福祉振興に努め、三代目光子氏が土地の無償提供を行ったところ、北海道の先住民であるアイヌの人々の生活や学業の道が開かれ、アイヌ部落が形成されました。阿寒湖温泉街の西側には、今でも、アイヌコタンと呼ばれる戸数約30戸と北海道では最大級のアイヌの集落があります。
自然はもちろんのこと、古代からのアイヌの生活や文化を学んだり、民芸品店や北海道料理、アイヌ料理を楽しめます。
(*1)最も寒い環境で育った、葉が針のように細い針葉樹の林
(*2)カルデラ:大量のマグマ噴出を伴う噴火により作られた陥没地形のこと
アクセス
*冬期は雪で通行止めになる可能性があります。天候および交通情報を事前にご確認ください。
# 2、十和田八幡平国立公園(秋田、岩手、青森)



火山と温泉の土地で体を労る
十和田八幡平国立公園は、本州北部の山岳地帯に位置し、山と湖と渓流が印象的な公園です。また、火山地形や、噴火による地殻・地熱の急激な変化など火山現象が豊富で、別名「火山博物館」と呼ばれています。大きく、「十和田・八甲田地域」と、「八幡平地域」の2つのエリアで構成され、日本でも有数の火山地域である八幡平地域は、火山活動の恩恵で、多くの温泉に恵まれていることも、本公園の大きな魅力となっています。
東北地方には「湯治」という、温泉地に長期間滞在して心身を癒す、温泉文化が多く残っています。日本における湯治文化は、記録されているだけでも、1300年も前に遡ることができます。昔は時間とお金に余裕のある権力者のみに限られていたそうですが、江戸時代に移ると、乱世の時代が落ち着き、街道なども整備され、一般の農民や庶民も利用するようになりました。時代の移ろいに合わせて人々の生活様式が変わっていく中でも、伝承により今に受け継がれてきました。
八幡平地域には各地に湯治宿があり、それぞれ違った泉質の温泉で、冷え性、腰痛、捻挫、またメンタル部分のケアなど、様々な効能で体を癒すことが出来ます。地熱を利用した岩盤浴や、床を温めた部屋に泊まって行う「オンドル」と呼ばれる温熱浴などの独特な温泉文化も楽しめます。
アクセス
*冬期は雪で通行止めになる可能性があります。天候および交通情報を事前にご確認ください。
3. Nikko National Park


多くの人に愛されるシンボル 寺社仏閣
日光国立公園も、阿寒摩周国立公園と同じく1934年12月4日に日本で最初に誕生した国立公園の一つです。首都圏から、鉄道や自動車でアクセスしやすいため、手軽に自然や歴史文化に親しむことができる場所として非常に人気があります。
公園区域の大半は山岳地であり、北関東最高峰の白根山や、古くから信仰の山である男体山、火山活動が活発な那須岳といった山岳が分布しています。この地域の山麓部には、ブナ、ミズナラ、カエデなどが混じる落葉広葉樹林帯になっており、秋には美しい紅葉が見られます。
一方で、世界遺産にも登録された日光東照宮、二荒山神社、輪王寺などの神社仏閣をはじめ、数々の歴史的建造物や史跡が多く残されています。元々日光は、奈良時代(710-794年)に、二荒山(男体山)に登った勝道上人により開かれた山岳信仰の霊地です。二荒山神社は、日光山信仰の始まりとなった古社で、二荒山がご神体としてまつられており、古くから信仰を集めていました。二荒山神社の主祭神は招福や縁結びの神様、大己貴命です。今日でも縁結びのご利益を受けようと、多くの人が参拝します。また、日光東照宮は、江戸時代の武家政権である江戸幕府を開いた徳川家康が祀られている、最も有名な観光地の1つです。全国各地から名工が集められ、柱などには数多くの彫刻が飾られている、精彩な色使いの建物は豪華絢爛です。歴史的建造物と自然景観の融合が独特な景観を生んでいることが特徴的な国立公園です。
4、伊勢志摩国立公園(三重)


伊勢神宮が見守る、悠久の歴史・自然・人が共に暮らす場所
伊勢志摩国立公園は昭和21年に戦後初の国立公園として指定されました。2016年にG7伊勢志摩サミットが開催されたことでも有名です。エリアは大きく2つに分けられ、一つは、2,000年という悠久の歴史を持つ伊勢神宮と森林環境を中心とした内陸のエリア、もう一つはリアス海岸に代表される海沿いのエリアです。他の国立公園に比べ、民有地の割合が96%以上と非常に高く、公園内の居住人口も非常に多いため、その土地の生活、歴史、文化、風習などに深く触れることができるのが特徴です。
伊勢志摩国立公園のアイコンとも言える伊勢神宮は、「お伊勢さん」と呼ばれて親しまれ、人々の生活の一部として根付いています。内宮・外宮と分かれており、内宮は皇室の御祖先であり、太陽にもたとえられる「天照大御神」が祀られ、外宮は天照大御神の食事を司り、産業の守り神である「豊受大御神」が祀られています。
この伊勢神宮の前にある「おかげ横丁」は、800mほどの美しい石畳の通りで、江戸から明治(1603〜1912年)の街並みを彷彿とさせる建築物が移築・再現されています。伊勢志摩ならではの食事処や土産物店が建ち並びます。江戸時代(1603〜1868年)に起こった伊勢神宮への集団参詣である「お蔭参り」で賑わったことから、この名前がついたとされています。参宮者は、現在の東京からは片道15日間、大坂からは5日間、名古屋からは3日間かけて、歩いて参拝しました。それだけ、日本全国から親しまれてきた歴史文化が色濃く残る国立公園です。
一方、海岸沿いには、複雑に入り組んだリアス式海岸や、アカウミガメの産卵地である甲賀~畔名エリア、縁結びのシンボルである夫婦岩などがあります。夫婦岩は、沖合約700m先にあり、そこには興玉神石(霊石)が鎮められています。この興玉神石と日の出を拝む鳥居とされており、5~7月には、夫婦岩の間から日の出を見ることができます。
5、大山隠岐国立公園(鳥取県、島根県、岡山県)


神が年に1度集う出雲大社で縁結びを
大山隠岐国立公園は、大山をはじめとする山岳地帯、島根半島の海岸部分、三瓶山一帯、隠岐諸島の4つの地域から成り、変化に富んだ景観を持つ国立公園です。豪快な火山地形や豊かな森林、広大な草原など個性豊かな山岳景観と、波浪によって浸食された独特の海岸景観を形作っており、それぞれの環境に適応した多様な動植物を見ることができます。また、日本の神話の舞台となっており、今も出雲大社を中心に、出雲の土地ならではの文化が息づいているところも大きな特徴です。例えば、出雲の祖神である八束水臣津野命(やつかみずおみつぬのみこと)が「出雲の国は小さい。もっと大きくしたい」と思い、海の向こうに張り出した土地を切り離して縄をかけ、引っ張って本土に縫い合わせた。そしてできたのが島根半島です。半島が流されないように網をかけた杭がそれぞれ三瓶山と大山に、綱は、東の鳥取県の弓ヶ浜半島、西の稲佐の浜、になったと言われています。
実は、そんな神話を持つ島根半島は、何度も繰り返される地震で本土と切り離されたり、河川が運んできた土砂などにより再び本土と繋がったりを繰り返し、約1万年前に離島となったと言われています。こうしたプロセスを経て、波の激しい浸食によって切立った崖や、ローソクのような形をした細長い岩、洞窟など、変わった海岸景観を見ることができます。
また、この国立公園で最も人気のスポットの1つが出雲大社です。毎年10月に、日本全国の神々が出雲大社に集ると言われています。神々とは、山、川、木、岩など自然物に宿っていると言われている、地元の人々に信仰されている自然神のことです。集まった神々は、日頃信仰してくれている独身の男女の結婚相手を決める会議をすると言われています。この言い伝えから、出雲大社は縁結びの神社として今日まで厚く信仰されるようになりました。
6、阿蘇くじゅう国立公園(熊本、大分)


世界最大級の阿蘇山と、1000年以上人の手によって守られている雄大な草原
阿蘇くじゅう国立公園は、世界最大級を誇るカルデラを有する阿蘇山や、その北に連なる火山群、その周囲に広がる雄大な草原が特徴的な国立公園です。
公園南部に位置する阿蘇山の周辺には、中岳の火口や、美しい円錐形をした米塚、広大な草千里ヶ浜などが並んでおり、雄大で多様な自然を連続して見ることができます。中部には「九州の屋根」とも呼ばれるくじゅう連山が鎮座し、山中のあちこちでは噴気が上がり、地熱発電所も稼働しています。また、その周辺には久住高原や飯田高原などの広大な草原や、タデ原湿原や坊ガツル湿原など学術的にも貴重な湿地を見ることができます。そして、北部には全国的にも有名な別府や湯布院などの温泉地の源になっている鶴見岳や由布岳がそびえ、別府湾から由布院盆地、くじゅう連山までを一望することができます。
山麓では長年、放牧のための野焼き・採草が行われています。草原が樹林へと移り変わらないよう毎年春に行われ、1000年以上も続けられていることにより、大規模な草原景観が維持されてきました。草原は、人の利用や管理によって植生が異なり、野焼き・採草などを続けることで特徴的で貴重な動植物が生息・生育しています。
このような火山と草原のコントラストが、この公園の大きな魅力の一つとなっています。
7、霧島錦江湾国立公園(宮崎、鹿児島)


火山によってできた世界的に珍しい名所と、九州名物の砂蒸し風呂を巡る
霧島錦江湾国立公園も、阿寒摩周国立公園、日光国立公園と共に、1934年に最初の国立公園の一つとして誕生しました。大きく、大小20以上の火山が連なる北部の霧島地域と、現在も火山活動が盛んで活火山として世界的にも有名な桜島と、海域を含めた南部の錦江湾地域に分かれています。霧島錦江湾国立公園には、火山活動を続けている山や、過去の大きな噴火によって形成された巨大カルデラが多く見られます。霧島地域の霧島山は、20数座の火山群で、6つの火口湖を持つ世界的にも珍しい名所として知られています。春はミヤマキリシマのピンク色、夏は新緑の緑色、秋は紅葉の赤黄色、冬は霧氷の白色などなど、季節によって山肌を7色に変えると言われています。
また、この活発な火山活動の恩恵で、霧島錦江湾国立公園には温泉が豊富にあることでも有名です。鹿児島特有の温泉といえば、砂むし風呂です。砂蒸し風呂は、指定された砂の上に
仰向けになり、係りの人に50〜55℃の砂をかけてもらうという入浴方法です。300年前から湯治に訪れる人に親しまれていました。神経痛・リウマチ・腰痛・関節痛・骨折など多くの症状に効用があると言われています。砂蒸し風呂に入ると、心拍出量が増え、体の深部体温が上がるようです。血液循環を進めることによって老廃物の排出や炎症性・発痛性物質を洗い出し、十分な酸素栄養を供給する作用があります。鹿児島大学医学部の調査によると、砂むし風呂の効果は、なんとお湯に入る温泉の3~4倍だそうです。
8、慶良間諸島国立公園(沖縄)


海と島がつくるケラマブルーの世界
慶良間諸島は、大小30余りの島々と数多くの岩礁からなる島しょ群で、ケラマブルーと呼ばれる透明度の高い美しい海が特徴の国立公園です。多様なサンゴが密集して生息するサンゴ礁、ザトウクジラの繁殖海域、多島海景観、サンゴのかけらや星砂などからできた白い砂浜、ウミガメの産卵区域、湾入の多いリアス海岸とそこに発達した風衝地特有の植生を楽しむことができます。沖縄本島(那覇市)から高速船で約35~50分とアクセスが良く、夏はダイビングやシュノーケリング、冬にはホエールウォッチングが人気。陸と海が連続して一体となった景色は圧巻です。
また、慶良間諸島には御嶽、貝塚、史跡といった重要文化財が多くあります。慶良間諸島の中にある慶留間島の集落の、高良家住宅と呼ばれる建物もその1つです。慶良間諸島は、かつて沖縄本島から中国への唐船貿易の中継地で、公用船の船頭職を勤めた人物が19世紀に建築したと言われています。また、各集落には神を祀って拝む場所である拝所(うがんじゅ)があり、海と共生する地元民は漁業反映や航海安全を願って、毎年海神祭、浜下りといった年中行事を行います。また、豊作を祈願して、区民総出で大綱を作り綱曳きをする「大綱曳き」など、古くからの行事・習わしが残っています。
これは守ろう!
ゴミを捨てないでください
植物を採らないでください
動物に餌を与えないでください
動物を捕らないでください
歩行中禁煙
たき火は指定の場所で行いましょう
遊歩道や登山道から外れないでください
野生生物には近づかないでください
多くのスポットを深く体験したい!欲張りなあなたに
全部で8箇所の国立公園と、その中のおすすめスポットをご紹介しましたが、まだまだ紹介しきれないほど見るべきスポットがたくさんあります!深い知識とともにサクサク回るために、ガイドと一緒に回ることも1つの手段としておすすめです。一歩踏み込んだ体験がしたい方はぜひお問い合わせください。あなただけのおすすめプランをご提案いたします!
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